ざまあみろ

数ヶ月ぶりに会う君は、

やっぱりまた、待ちきれないような笑顔で僕を待っていた。

会いたかったんだよって顔をしながら、

「会いたかったんだよ」って言われたら、

考える間もなく、ほっとしてしまう。

 

ふたりでいることが当たり前で、

心地よくて、ふたりして何もかも放り出して、

ただ一緒の布団で映画を見たり、

答えのない問題について考えたりしてた。

そんな毎日がふと怖くなって、

僕は彼から逃げ出した。

 

あれからまだ3年。

まだ3年だけど、

ずいぶんキミは変わったみたい。

僕の知らない場所、僕の知らない人と、

一緒に暮らしているんでしょ。

僕は仕事に追われ、時間に追われ、

ゴールのないレースを全力でただ走っているような、

そしてふと走り疲れて、歩きながらあたりを見回すと、

誰もいなくなっているような、

そしてふと切なくなって、でも涙も出ないような、

そんな日々を送っているの。

 

そんな顔で僕の顔を見ないでよ。

好きだよって言わないでよ。

馬鹿みたい。

気乗りはしなかったけど、

もしかしたら楽しいかなって思って、

終電を逃したけれど、

バーで知らない客と楽しそうに話すキミを見て、

ああ、僕は3年前と何も変わっちゃいない、

変わっちゃいないんだと思い知ったよ。

次の瞬間には、もう店を出て、

タクシーに乗っていた。

 

窓の外を見ながら、

 

(ざまあみろ)

 

そう思っている自分、そう思いたい自分が、

悲しくて笑える。

 

ねぇ。

 

3年間を投げ出して、

追いかけてきてはくれないよね?