生まれてきてよかったと思うとき

この5年。
先のことを考える時、
いつも目の前には2つの道があるように思われた。

ひとつは、高層ビルへつながる道。
高収入で、英語を話し、磨かれた靴、かかとをならし、
高級ホテルのラウンジや、豪華な食事が用意されている。

もうひとつは、劇場へとつながる道。
カビ臭い稽古場、居酒屋での談義、仲間と語り合い、
お金はないけれど、それを紛らわす、
本番のエクスタシーと使命感が燃えている。

結局のところ、これらふたつは、
自分の空想が作り出した、虚構の分かれ道であって、
もしかしたらこんな道は無いのかも。
薄々そんな気もしてきた。

私がこれからどんな道を選んでいくのか、
大事なことは、どんな価値につながっているのかを考えること。

私は、人が「生まれてきてよかった」と思う瞬間を、
つくる、増やす、広げる、深める、ことを生業としたい。

生まれてきてよかった、とは何か?

人生の喜びってなんだろう。

美空ひばりの「愛燦々」を聞きながら、
苦しみや孤独ですら、人生の喜びだと感じるようになった。

これは重要な気づきかもしれない。